盛岡地方裁判所 平成2年(わ)164号 判決 1991年3月26日
本籍
岩手県和賀郡和賀町横川目一六地割二二九番地
住居
同県北上市大堤北二長五番四六号
ゲームリース業
奥寺義信
昭和一九年四月九日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官門西栄一出席の上審理して、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年及び罰金二〇〇〇万円に処する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
被告人において右の罰金を完納し得ないときは金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、ゲーム機リース業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、ゲーム機のリース収入を除外して仮名預金を設定するなとの方法で所得を秘匿した上
第一 昭和六一年分の実際総所得金額が五一九一万四三六六円あったにもかかわらず、同六二年三月一一日、岩手県花巻市材木町八番二〇号所轄花巻税務署において、同税務署長に対し、同六一年分の総所得金額が一〇七一万二〇〇〇円で、これに対する所得税額が二〇〇万九五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二四五八万二四〇〇円と右申告税額との差額二二五七万二九〇〇円を免れ
第二 昭和六二年分の実際総所得金額が六二二五万四五二五円あったにもかかわらず、同六三年三月一日、前記花巻税務署において、同税務署長に対し、同六二年分の総所得金額が一一〇五万八〇〇〇円で、これに対する所得税額が二〇七万三四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二九二六万一〇〇円と右申告税額との差額二七一八万六七〇〇円を免れ
第三 昭和六三年分の実際総所得金額が七四八五万八七八〇円あったにもかかわらず、平成元年二月二一日、前記花巻税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額が一〇八一万四〇〇〇円で、これに対する所得税額が一八五万六四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額三四九六万六八〇〇円と右申告税額との差額三三一一万四〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官(二通)及び大蔵事務官(五二通)に対する各供述調書
一 被告人作成の上申書
一 平野正次、村田勢津子、佐藤一実、佐々木節子、藤原節子、千田守雄、小田島好子、佐藤祥子、山浦静子、小野邦佳、菅野喜一、川辺清治、小野寺和子、佐々木利幸、菊地利和の検察官に対する各供述調書
一 奥寺義幸(一〇通)、奥寺弘子、奥寺明善、奥寺義忠、奥寺義房、青木成光、伊藤道雄、小原徹、織笠征夫、佐藤司、沢田正国、高橋設郎、八重樫勝雄、高橋弘道、張碧郷、駒込市郎、伊藤収光、小原妙子、照井睦子(二通)、藤田トヨ子、小原キヨエ、千葉洋子、橘孝親、伊藤慧、伊藤博則、菊地利和(一四通)の大蔵事務官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の現金調査書、預貯金調査書、有価証券調査書、預け金調査書、無尽掛け金調査書、一時払保険金調査書、貸付金調査書、貸付金(義幸)調査書、器具備品調査書、車輛調査書、建物調査書、未払金調査書、借入金調査書、事業主貸勘定調査書、事業主借勘定調査書、不動産所得調査書、配当所得調査書、雑所得調査書及び譲渡所得調査書
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の所得税の修正申告書謄本(昭和六一年分)
一 押収してある昭和六一年分の所得税の確定申告書一枚(平成三年押第六号の一)及び収支内訳書一通(同号の五)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の所得税の修正申告書謄本(昭和六二年分)
一 押収してある昭和六二分の所得税の確定申告書一枚(前同号の二)及び収支内訳書一通(同号の六)
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の所得税の修正申告書謄本(昭和六三年分)
一 押収してある昭和六三年分の所得税の確定申告書一枚(前同号の三)及び収支内訳書一通(同号の四)
(法令の適用)
所得税法二三八条、刑法四八条一項(懲役刑と罰金刑の併科)、同法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に併合加重)、四八条二項、二五条一項、一八条。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 守屋克彦)